向日葵

笑顔の出し惜しみをしない。

 

そんなあなたの笑顔は向日葵が咲いたようだった。

あなたが笑うと、周りの何かを変える力があった。

そして、あなたの周りにはいつも人が集まっていて、

誰からも人気があった。

 

 

 

ここの仕事に就いてしばらくして、自分の部署替えがあった。

 

 

 

前の部署は人間関係で疲れて、

自分は毎日が苦痛だった。

 

 

 

しかし、しばらくすると、

自分は別の部署へ移った。

 

 

 

そこにあなたは居た。

 

 

いつも暗い自分とは対照的なあなたは、

そんな自分にも普通に接してくれた。

 

 

 

なにより、ほかの人と同じような扱いをしてくれたのが、

とても嬉しかった。

 

 

 

時折見せるその笑顔は自分には、

もったいないくらいで、

眩しかった。

 

 

 

「なんだか介護士って言うより、

看護師みたいだね」

 

 

 

そう自分はあなたに言うと、

 

 

 

「え、そうかな?」

 

 

 

と言って嬉しそうに笑った。

 

 

なんかもっと気の利いたことを言って、

この人を喜ばせてあげたい。

 

 

 

そう、自然に思った。

 

 

 

そうしているうちに、

しばらくして、前の部署の事は忘れて、

自分にも不思議と元気が出てきた。

 

 

 

毎日、仕事に行くのが楽しみになった。

 

 

 

この人の笑顔を見ること。

 

 

 

その事が毎日を楽しくさせた。

 

 

 

その「小さな喜び」それはごく当たり前で、

ずっと続くものだと思っていた。

 

 

 

 

その時、自分の心の中に何かの感情が生まれていたが、

その事は認めたくなかった。

 

 

 

そんな感情は自分には必要ない。

 

 

 

相手に迷惑をかける。

 

 

 

自分は遠く離れた所で、

この花を見ているだけでいい。

 

 

 

触れればその花は枯れてしまうのだろうから。

 

 

 

しばらく、楽しい毎日が続いた。

 

 

 

利用者さんにも、職員にもその人はやっぱり、

人気者だった。

 

 

 

誰からも好かれていた。

 

 

 

悪口を言う人は誰も居なかった。

 

 

 

あなたが笑うと、みんなも笑う。

 

 

 

そんな不思議な力をその人は持っていた。

 

 

 

 

 

しかし。

 

 

 

ある時、変化が起きた。

 

 

 

 

その人の部署替えが決まったのである。

 

 

 

 

なんでも、自分(烏龍)がいた元の部署への配属が、

決まったらしい。

 

 

 

 

ショックだ。

 

 

 

 

その事をエリアボスから聞いた自分は、

 

 

 

「これで業務に専念できますよ」

 

 

 

 

と冗談交じりに強がった。

 

 

 

でも。

 

 

 

本当は。

 

 

 

 

さようなら、向日葵。